2012-01-01から1年間の記事一覧
突然やってきたその女は私が他の旅人と話している そのテーブルにやってきて、焼きソバをほおばりながら 早口の中国語で勝手に話し始めた。あなたの事少し聞いたんだけど、あなた本当に日本人なの? 嘘でしょ?だって服装だって見るからに中国人じゃない! …
郎木寺での宿である旅朋青年旅館はおもしろい場所だ。 ゲストルームは全て二階になっており、 一階は共有スペース兼レストランとなっている。 そこには通りに面したバルコニーがあり、 椅子に腰掛け郎木寺の通りを眺めながらお茶を飲める。 私はここから郎木…
あたり一面、何もない大草原。 遠い遥か彼方のテントからは何かを焼く煙がただ一本見える。 黄河の源流の水を含んだ湿地は夕日をあびてキラキラと光り、 私はヤクと羊が無造作に群がるその中を 気心の知れた馬に乗り風のように駆け回る・・。そうだ、すっか…
郎木寺では日本の当たり前が当たり前ではない。 まず水は蛇口をひねって運が良ければでる。 洗濯は川でしている人もまだいる。 電気も水同様に運で、通ってないことも多い。 電気が通るのは完全な気まぐれで、 急に電気が通るとゲストハウスの従業員は 「电…
突然だが、「鳥葬」という言葉をご存知だろうか。人は生まれ、生き、やがて死ぬ。 チベットにおいて死んだ人間の魂の抜けた体は、 何ら特別なモノではなく、ただの肉の塊と見なされる。 それならば、その肉を有効に活用しようではないかと その故人の肉を、…
美女探しは終わった。 しかし私のチベット旅はまだまだ終わらない。 いや、むしろ、これからが新しい旅の始まりである! 私はチベットを北上した。私は次の目的地である馬而康(マラカ)に向かった。 この町は、とりわけ行きたい町でもなかったが、 美しい草…
美女を探しに来て、美女を一人も見つけずに帰れるわけがない! 美人谷へ行く起点となる丹巴の町に戻った私は、 美女捕獲前線基地に戻り一人作戦会議を開いた。そういえば美人谷にいたおばば達は、 美人谷の美人はみな町に行ったと言った。 もちろん成都や九…
夢にまで見た美人谷に行く前日は眠れなかった。 川に面した部屋からはゴーゴーと水が 洪水のように流れる音が聞こえ、 私はその度に雨かと思い外を確認してみるのだが、 それが川の流れの音だと分かると二秒後にはベッドに戻り、 眠くもない目を無理やり閉じ…
3000メートル級の山々の上で迎えた朝は寒かった。 私は黒いダウンコートを着て、頂上が白く雪化粧をした 山々を背に歩き出した。 私の次なる目的地は、美人谷への出発点となる丹巴である。 私は夢にまで見た村を前に、落ち着かなかった。 私の今回の旅のメイ…
私と多くのチベット人を乗せたバスは 山沿いの道をくねくねと曲がりながら チベットの大自然の中をずんずんと切り進んで行った。 途中、検問が一つあり警官がバスに乗って来た時は 内心ドキリとしたが特に問題はなく、 バスはようやく「達維」という村まで来…
チベット行きのバスチケットを手にした私は、 考える人のようなポーズをしながら、 「地球の歩き方 成都編」を見ては、頭を抱えていた。というのも、そのガイドブックの中に 『四姑娘山(しこじょうさん)』という山を紹介するページがあり、 そこに載ってい…
私の今回の旅の目的は、チベットの山奥にある 「美人谷」で美人を探す事である。私は事あるごとに「チベット」と言っているが チベットには大別し、二種類ある事を、 ここらで説明する必要があるだろう。まずは、ラサに代表される『チベット自治区』である。…
私は三国志が好きだ。だから中国と言うまっとうな人間なら、 即、嫌悪感を抱きそうな国にも大いに関心がある。 いや、関心があるばかりではない。私は2009年に中国を2ヶ月旅したが、 それでも物足りずこうして再び中国の大地を踏んでいる。 決して認めたくな…
こんなに気分が乗らない旅は初めてだ!神に任命されたとは言え、私は今回の旅に全く乗り気ではなかった。 空港に向かうバスの中で私は終始もんもんとしていた。だいたいチベットの山奥で絶世の美女を見つけたところで、 私には彼女がおり、今後その美女との…
いつだっただろうか、私が最初に『美人谷』の存在を知ったのは。私はネットか何かで中国、かつてのチベットに 美女が多く住む『美人谷』があるという事を知った。中国の歴史書にも、元の侵攻によって 滅ぼされた西夏王朝の王妃や多くの美女が 着の身着のまま…