2012-01-01から1年間の記事一覧

15-ヒトミちゃんと巻き寿司

突然やってきたその女は私が他の旅人と話している そのテーブルにやってきて、焼きソバをほおばりながら 早口の中国語で勝手に話し始めた。あなたの事少し聞いたんだけど、あなた本当に日本人なの? 嘘でしょ?だって服装だって見るからに中国人じゃない! …

14-最後の恋

郎木寺での宿である旅朋青年旅館はおもしろい場所だ。 ゲストルームは全て二階になっており、 一階は共有スペース兼レストランとなっている。 そこには通りに面したバルコニーがあり、 椅子に腰掛け郎木寺の通りを眺めながらお茶を飲める。 私はここから郎木…

13-錦馬超に憧れて

あたり一面、何もない大草原。 遠い遥か彼方のテントからは何かを焼く煙がただ一本見える。 黄河の源流の水を含んだ湿地は夕日をあびてキラキラと光り、 私はヤクと羊が無造作に群がるその中を 気心の知れた馬に乗り風のように駆け回る・・。そうだ、すっか…

12-ATMをたずねて6時間

郎木寺では日本の当たり前が当たり前ではない。 まず水は蛇口をひねって運が良ければでる。 洗濯は川でしている人もまだいる。 電気も水同様に運で、通ってないことも多い。 電気が通るのは完全な気まぐれで、 急に電気が通るとゲストハウスの従業員は 「电…

11-鳥葬をたずねて三千里

突然だが、「鳥葬」という言葉をご存知だろうか。人は生まれ、生き、やがて死ぬ。 チベットにおいて死んだ人間の魂の抜けた体は、 何ら特別なモノではなく、ただの肉の塊と見なされる。 それならば、その肉を有効に活用しようではないかと その故人の肉を、…

10-何もない町

美女探しは終わった。 しかし私のチベット旅はまだまだ終わらない。 いや、むしろ、これからが新しい旅の始まりである! 私はチベットを北上した。私は次の目的地である馬而康(マラカ)に向かった。 この町は、とりわけ行きたい町でもなかったが、 美しい草…

9-美女探し大作戦 その2

美女を探しに来て、美女を一人も見つけずに帰れるわけがない! 美人谷へ行く起点となる丹巴の町に戻った私は、 美女捕獲前線基地に戻り一人作戦会議を開いた。そういえば美人谷にいたおばば達は、 美人谷の美人はみな町に行ったと言った。 もちろん成都や九…

8-美女探し大作戦 その1

夢にまで見た美人谷に行く前日は眠れなかった。 川に面した部屋からはゴーゴーと水が 洪水のように流れる音が聞こえ、 私はその度に雨かと思い外を確認してみるのだが、 それが川の流れの音だと分かると二秒後にはベッドに戻り、 眠くもない目を無理やり閉じ…

7-夢の美人谷へ

3000メートル級の山々の上で迎えた朝は寒かった。 私は黒いダウンコートを着て、頂上が白く雪化粧をした 山々を背に歩き出した。 私の次なる目的地は、美人谷への出発点となる丹巴である。 私は夢にまで見た村を前に、落ち着かなかった。 私の今回の旅のメイ…

6-四姑娘山の誘い その2

私と多くのチベット人を乗せたバスは 山沿いの道をくねくねと曲がりながら チベットの大自然の中をずんずんと切り進んで行った。 途中、検問が一つあり警官がバスに乗って来た時は 内心ドキリとしたが特に問題はなく、 バスはようやく「達維」という村まで来…

5-四姑娘山の誘い その1

チベット行きのバスチケットを手にした私は、 考える人のようなポーズをしながら、 「地球の歩き方 成都編」を見ては、頭を抱えていた。というのも、そのガイドブックの中に 『四姑娘山(しこじょうさん)』という山を紹介するページがあり、 そこに載ってい…

4-チケット to チベット

私の今回の旅の目的は、チベットの山奥にある 「美人谷」で美人を探す事である。私は事あるごとに「チベット」と言っているが チベットには大別し、二種類ある事を、 ここらで説明する必要があるだろう。まずは、ラサに代表される『チベット自治区』である。…

3-もしも関羽に会えたなら

私は三国志が好きだ。だから中国と言うまっとうな人間なら、 即、嫌悪感を抱きそうな国にも大いに関心がある。 いや、関心があるばかりではない。私は2009年に中国を2ヶ月旅したが、 それでも物足りずこうして再び中国の大地を踏んでいる。 決して認めたくな…

2-さっそく美女現る

こんなに気分が乗らない旅は初めてだ!神に任命されたとは言え、私は今回の旅に全く乗り気ではなかった。 空港に向かうバスの中で私は終始もんもんとしていた。だいたいチベットの山奥で絶世の美女を見つけたところで、 私には彼女がおり、今後その美女との…

1-美女の谷に魅せられて

いつだっただろうか、私が最初に『美人谷』の存在を知ったのは。私はネットか何かで中国、かつてのチベットに 美女が多く住む『美人谷』があるという事を知った。中国の歴史書にも、元の侵攻によって 滅ぼされた西夏王朝の王妃や多くの美女が 着の身着のまま…